脳や鼻、歯の病気、或いは二日酔い、風邪などによる頭痛を除いた、いわゆる慢性的に続く頭痛を慢性頭痛と言います。
慢性頭痛は
①緊張型頭痛
②片頭痛
③群発頭痛
の3つに分類されますが、鍼(針・はり)の対象になる頭痛は①と②(条件付き)です。
特に①の緊張型頭痛は、鍼(針・はり)との相性は抜群で、頭痛薬を完全に手放す事も不可能ではありません。②の片頭痛は、病院の投薬治療が基本になりますが、①の緊張型頭痛を併発する事が多く、筋緊張を取り除く事で痛みの頻度や強さを軽減させる事が期待できます。
緊張型頭痛 | 片頭痛 | 群発頭痛 | |
年齢 | 子供から高齢者まで | 子供から高齢者まで (10~20歳代で発症 する事が多い) |
20歳~40歳代 |
性別 | 女性に多い傾向があるが 男性にも同じように起こる |
女性に多い (男性の3.6倍) |
男性に多い (女性の3倍) |
有病率 | 4人に1人 | 12人に1人 | 1000人に1人 |
頻度 | ほぼ毎日、持続的に痛む | 多い人で週1~2回 少ない人で月1~2回の 頻度で発作的に痛む |
1年、或いは数年に 1~2回の頻度で発作的に痛む 1度、発症すると1~2か月間、 ほぼ毎日、痛む |
持続時間 | 持続的 | 数時間から、長い時は3日間 | 15分~3時間 |
症状 | ギューっと締め付けられるような痛み 重苦しい痛み |
ズキズキ拍動性の痛み | えぐらるような痛み 耐えられないような痛み |
痛む箇所 | 頭の両側 頭全体 後頭部 ☆片側だけの事もある |
片方のこめかみ 片方の目の奥 |
片方の目の奥 |
特徴 | 肩や首が凝る 身体を動かすと少し楽になる 頭痛で動けない程ではない |
緊張している時は出ない ホッとした時や週末に多い 光や音、匂いに過敏になる 酷いと動けなくなり寝込む |
充血 涙 鼻水 鼻づまり 自律神経症状 |
誘因 | ストレス 目の疲れ 長時間の同じ姿勢 |
ストレス 月経 空腹 アルコール 旅行 天候 寝すぎ 寝不足 |
アルコール |
原因 | 筋緊張による血流障害 | 血管拡張による 炎症ないし神経圧迫 |
視床下部の機能異常?・内頚動脈の拡張? |
鍼(はり)の 効果 | ◎ | △ | × |
①緊張型頭痛
緊張型頭痛は年齢、性別に関係なく、子どもから高齢者まで、どの年齢層でもみられ、毎日のように頭痛が続く慢性緊張型頭痛と、時々、頭痛がする反復性緊張型頭痛とがありますが、片頭痛と比較すると、頭痛の頻度が多いのが特徴です。
緊張型頭痛の有病率は国民のおよそ4人に1人と言われています。症状は、両側の側頭部または頭全体、或いは後頭部が締め付けられるように重く痛みます。筋緊張に著しい左右差がある場合には、片頭痛のように片側にだけ強く症状が出る事もあります。また鎮痛薬を多く服用し過ぎると、片頭痛のように片方の目の奥やこめかみがズキズキ痛む事もあります。
いずれの場合でも、首や肩凝りを伴う事がほとんどで、肩首まわりの筋緊張を取り除き血流を改善する事で、多くは症状が軽減ないし消失します。
軽度な筋緊張であれば、鍼(針・はり)を使わなくても超音波を5分当てるだけで、充分な効果が期待出来ます。特に小学生、中学生で緊張型頭痛がある方は、成人になる頃には頭痛だけでなく頑固な肩凝りに悩むケースに発展する(鍼を使ってもかなり手こずります)事が多い為、超音波の効果が期待出来る段階で、早めに筋肉のお手入れする事をお勧めします。
緊張型頭痛は市販薬でも効果が高く、安易に毎日、鎮痛薬を服用してしまいがちですが、鎮痛薬を乱用をすると、胃や肝臓など内臓の負担だけでなく身体に耐性が出来てしまい、いざ鎮痛薬が必要な時に効果が薄れてしまう事があります。又、鎮痛薬そのものが引き金となって頭痛を引き起こす、薬物乱用頭痛にもなりかねません。
薬物乱用頭痛の目安は
- 頭痛薬を月に10日以上飲んでいる。
- 以前はよく効いていた頭痛薬が効かなくなってきた。
- 薬の種類を変えたり、服用回数や1回の服用量がどんどん増えてきた。
- 朝起きた時から頭痛がする。
- 頭痛の頻度や強さが以前よりも酷くなってきた。
- 片頭痛のように、片側ないし両方の目の奥やこめかみがズキズキ痛むようになってきた。
あまりに頭痛が酷くなると、病院で鎮痛薬だけでなく抗不安薬・抗うつ薬・筋弛緩薬を処方される事がありますが、緊張型頭痛は、その名の通り筋肉の緊張による頭痛になりますので、薬に頼らなくても改善できる頭痛になりますので、是非とも当鍼灸院にお任せ頂ければと思います。
②片頭痛
片頭痛は、10~20歳代で発症する事が多く、男性のよりも女性に多いのが特徴です。
有病率は国民のおよそ12人に1人と言われていますが、男性よりも女性に多い為、女性の5人に1人は片頭痛持ちだと言われています。症状は週1~2回程度と、緊張型頭痛のように発症の頻度は多くはありませんが、片方のこめかみや目の奥がズキズキ脈打つように痛むだけでなく、吐き気(嘔吐)を伴い、光や音に過敏に反応する為、日常生活に支障をきたす事が多い頭痛になります。
片頭痛は筋肉由来の頭痛ではない為、鍼(針・はり)の効果はあまり期待できません。しかし慢性片頭痛や寝込むような酷い片頭痛で、薬の効果が芳しくない場合、後頭下筋群(大後頭直筋・小後頭直筋・上頭斜筋・下頭斜筋)を緩める事で日常生活に支障がでない程度にまで症状が軽減する事が少なくありません。(再現性に乏しく全ての方に当てはまる訳ではありません。)
片頭痛の治療は病院で処方される薬物療法が中心となり、頭痛を起きにくくする予防薬と、頭痛が起きた時に服用する急性期治療薬でコントロールします。
片頭痛特有の症状だけでなく
- 頭痛が週3回以上ある
- ドーンと重い痛みが出る事がある
- 首や肩が凝る
- 寝違える事がある
- 首の動きが悪い
上記のような症状がある方は、片頭痛と緊張型頭痛を併せ持っている混合型頭痛になりますので、鍼(針・はり)をする事で、頭痛の症状を大幅に軽減させる事が可能となります。(☆薬物療法は必要です。)
③群発頭痛
群発頭痛の有病率は1000人に1人程度で、20歳~40歳代の男性に多く、女性の3倍とも言われています。症状は数か月から数年に1度、群発地震のように、一定の期間に集中して起こります。頭痛のある群発期には、数週間から数か月間、ほぼ毎日のように片方の目の奥が痛くなります。痛みが軽い人もいますが、耐えられない程の痛みで、痛みのある側の、目や鼻に、充血や涙、鼻水や鼻づまり、発汗等の自律神経症状が現れるのが特徴です。
群発頭痛の発症のメカニズムは、現段階では、まだハッキリと解明されていませんが、体内時計のある視床下部の機能異常や内頚動脈の拡張が関係している可能性があるといわれています。
当鍼灸院で行う鍼(針・はり)の対象外となりますので、詳しくは割愛させて頂きます。
まとめ
当鍼灸院で改善可能な頭痛は、筋肉由来の症状である為
①の緊張型頭痛
になります。
②の片頭痛と①の緊張型頭痛を合わせ持っている混合型頭痛の場合には、完全に改善する事は難しいですが、1ヶ月で数回程度の頭痛発作にまで症状を減らす事が可能です。
当鍼灸院で改善も軽減も出来ない頭痛は
③の群発頭痛
です。